断続的な甘い声と熱に滲んだ紅い目と。
舌っ足らずな拙い音で、呼ばれた名前に煽られる。
唇を噛み嬌声を殺し、過ぎた力で血を流し。
その口元を指で撫ぜ、滲んだ緋色を拭い取る。
「っ、」
痛みに引き攣る白い喉、短く呑まれた甘い呼気。
淡く開いた唇の隙、ちろりと覗いた赤い舌。
指先を舐められ招かれて、応えるように滑り込ませた。
戸惑い逃げる舌に触れ、指の腹でゆるりと撫ぜる。
噛まないようにと気遣っているのか、唇は薄く開かれたまま。
口内で指を軽く曲げると息苦しいのか眉を顰めた。
躊躇いがちに蠢く舌が、その指の先をつつ、となぞる。
下しきれない唾液が溢れ、口の端から零れていった。
充分に濡れた指を引き抜き、そのまま下肢へと滑らせる。
びくりと大きく身を震わせて、開いた脚を強張らせた。
眉尻を下げて俺を見る目に困惑の色がゆらゆらと。
眉間にひとつ口吻けをして、怖いか、と再度問う。
「へいき、だよ。君となら」
「っ……そういう、ことをだな……」
「え? っア、」
高く上がった嬌声と、弓形に反った細い身体と。
体内の異物感に惑い震える真白い肌に目が眩む。
ゆっくりと挿し入れた指を進めると細い脚がびくりと跳ねた。
苦しげに胸を上下させ、シーツに縋り握り締める。
掠れた声で名を呼ぶと、泣き濡れた目が俺を視た。
震える唇が僅かに動き、音なく俺の名を紡ぐ。
応えるように笑みを返して、内部を緩く掻き混ぜた。
「や……あ、っ……ん、」
時折手を止め反応を見ながら探るように指を進める。
指先が一点を掠めた瞬間、花白の身体が強張った。
両目を見開き声を上げ、いやいやをするように頭を振る。
「ここ、か?」
問いながら再度そこに触れると一層高く声を上げた。
浅く短い呼吸をしながら、びくびくと身を震わせる。
解れたそこから指を引き抜き、労わるように頬を撫ぜた。
はあ、と熱い息を吐き、花白の目が俺を映す。
焦点の危ういその赤色が、泣きそうな笑みに細められて。
くろと、と掠れた声に呼ばれ、ぐっと自身を含ませた。
苦しさを忘れた甘い矯正、過敏に跳ねる白い肌。
散らせた花弁は艶やかに、震えるその身を染め上げる。
不意に頬を掠めた白は、すいと伸ばされた花白の手で。
くしゃりと髪に指を絡めて、そのまま首へと腕が回った。
ふわりと淡く微笑まれ、どうしようもない愛しさが募る。
口吻けを、繋がりを深く交わして、どちらともなく名を呼び合って。
声音は甘く鼓膜を犯し、眩む意識が真白く弾けた。
←
リクエスト内容(意訳)
「甘々初夜」
一覧
| 目録
| 戻