寝台に寝そべり伸ばした腕に、温かな手のひらが添えられた。
なあに? と小首を傾げて問うと、冷たいな、と眉を顰める。
寒くないのかと続く言葉に小さく唸って思案に沈んだ。

弾き出された解答は、寒いかも、という曖昧なもの。
呆れた顔の相手に向けて、体温の低い腕を伸ばす。
あっためて? と笑って強請ると藍色の目が丸くなった。










―安堵の熱―










伸ばした腕をそっと取られ、ぐいと引かれて起こされる。
触れられた箇所が温かくて、ふふ、と微かな笑みが零れた。
腕を離れたその手のひらは、髪を掠めて頬へと至る。
ひたりと触れられ押し当てられて、伝う体温に目を細めた。

「あったかいね」
「……おまえは冷たい」

頬から耳朶へ、耳朶から首へ、温かな手は緩やかに。
熱を分け与えようとするかのように、ゆっくりゆっくり動いてく。
ぽすんと胸元に顔を埋めたら躊躇う腕が背に回された。
小さい子供をあやすみたいに、ぽんぽんと軽く手のひらが跳ねる。





「ね、熊サン」
「うん?」

顔を上げて、首を傾げて、それだけ? と悪戯っぽく。
ぱちりと藍が瞬いて、すぐに視線が逸らされた。
夜目にも鮮やかな白い頬が徐々に朱を帯び染まっていく。
睨むような目を向けられて、くすりと小さく笑みを零した。

どちらからとなく顔を寄せ、啄むような口吻けを。
額に頬に唇に、顎から伝って首筋に。
留め具を外され襟を開かれ、冷気にふるりと身を震わせた。





「くすぐったいよ」
「我慢しろ」

寛げられた衣服の下、心臓の上で手が止まる。
指が滑り顔を寄せられ、ひやりと冷たい耳が触れた。
ほう、と安堵の吐息が零れ、次いで微かな笑い声。

「ここは温かいな」
「そう?」
「ああ」

上目に見るよに俺を捉えて、温かい、と繰り返す。
そこにひとつ口吻けを落とし、愛撫は下へ下へと向かう。
くすぐったさに身を捩り、灯される熱に浮かされて。
跳ねる身体と釣られる呼気と、零れる声音を抑え殺した。





下肢へと伸ばされた手が止まり、藍色の目が向けられる。
本当にいいのかと問うような視線に、小さく頷き微笑み返した。










リクエスト内容(意訳)
「玄救微エロ」

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