真っ白なシーツをきっちり整え、ふわり重ねた柔らかい毛布。
飛び込むように寝転んで、すう、と深く息を吸った。
身体に満ちるお日様の匂いと、膨らんだ毛布の優しい温もり。
ぱたぱたと足を揺らしていたら、もふ、と枕に潰された。
―ひだまり賛歌―
頭に枕を乗せたまま、身体を捻って振り返る。
上目で見上げたその先に、じっと佇む玄冬がいた。
腰に手を当て呆れた顔で、寝転んだ僕を軽く睨む。
「まだ洗濯物が残ってるぞ」
「……ちゃんと、やるよ……?」
「なら起きろ。ほら」
伸ばされた手と毛布を見比べ、きゅうっと毛布を抱き締める。
それが気に入らなかったのか、べりっと剥がされ転がった。
不機嫌も露わに頬を膨らませ、残された枕を腕に抱えて。
じとりと睨むと溜息ひとつ、不意に視界が塞がれた。
「少しだけだぞ」
ふわりと広がるお日様の匂いと、優しい色した玄冬の声。
子供を寝かしつけるみたいに、手のひらがぽんぽんと毛布を跳ねた。
その手を取って、きゅっと握る。
軽く引っ張ると不思議そうに、どうしたと問う声がした。
「玄冬も」
「……あのな……」
「ちょっとだけだから。ね?」
ことんと小首を傾げてみせて、瞬きもせずに彼を見る。
長いような短いような無言の応酬に鳥の囀り。
沈黙を破る溜息は、諦め顔の玄冬のもの。
空いている手で毛布を掴み、少しだけだぞと微笑んだ。
縮まった距離、伸ばした両腕。
玄冬の方へ見を寄せて、ふふ、と零した笑い声。
ひだまりの匂いと大好きな君を両手でぎゅっと抱き締めた。
とろり溢れる甘い眠気に瞼がゆっくり落ちて来る。
そっと玄冬を覗き見て、ほんの少しだけ驚いた。
目元口元を緩ませながら、もぞもぞと胸元に顔を埋める。
繰り返される密やかな寝息に誘われるまま目を閉じた。
リクエスト内容(意訳)
「日常ほのぼの」
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