ぽふ、と頭に乗せられた手が、やわらかな動作で髪を梳く。
指にくるりと絡めたり、するすると手の中を滑らせたり。
何度も何度も繰り返しながら玄冬はふわりと微笑んだ。










―人生の愉しみ―










お茶のカップを両手で持って、うっとりと両の目を閉じた。
食後の緩やかな時間の流れが眠気をとろりと引き寄せる。
一口含んだお茶の甘味に、ほう、と幸せな溜息を吐いた。

「ねえ、玄冬」
「うん?」
「それ、楽しい?」
「……ああ」

楽しいな、と言いながら、髪を掬ってさらりと流す。
頬を掠める感触に首を竦めて小さく笑った。
ちらりと玄冬の顔を見て、軽く唇を尖らせる。





「ずるい」
「……うん?」
「玄冬ばっかり、ずるい」

コト、とカップをテーブルに置き、空いたその手を玄冬の髪へ。
くるくると指に巻いてみたり、さらりと光を弾かせたり。
夜空を紡いだ玄冬の髪は、癖ひとつなく真っ直ぐで。
肌より少しだけ低い温度が触れた手のひらに気持ちいい。

「、わっ」

不意に背中へ回された腕、引き寄せられて声を上げる。
玄冬の髪が頬を掠めて、くすぐったさに首を竦めた。





どうしたの、と問いを投げても、なんでもないと返される。
おずおず伸ばした両腕を、応えるように背中に添えて。
あったかいなぁなんて思いながら、頬を擦り寄せ目を閉じた。

うしろ頭に触れる手が、くしゃりと髪を掻き混ぜる。
そのままぽんぽんと撫ぜられて、ふふ、と小さく笑みを零した。











リクエスト内容(意訳)
「玄→花。最終的には玄花イチャラブ」

一覧 | 目録 |